『ケアラー支援フォーラム参加報告!』


先日開催されました日本ケアラー連盟主催の「ケアラー支援フォーラム」へ参加された当会メンバーさんから参加報告がありましたのでご紹介します。

Rさん、ご報告ありがとうございます!

フォーラムへのご参加、お疲れ様でした!



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6月21日(日)、東京千代田区にある明治薬科大学・剛堂会館ビルにて、ケアラー支援フォーラム「それは、私だったかもしれない~介護殺人・ケアラーの人権・介護者支援」が開催されました。

基調講演では、日本福祉大学準教授の湯原悦子さんが「介護殺人と介護者支援」と題し、介護殺人をめぐる現状を分析。統計をとりはじめた1998年から2014年までに少なくとも672件が発生しており、年平均にすると40件程度が発生しているとのこと。ショッキングなのは、介護保険が導入されても介護殺人は減っていなかったということでした。また、加害者は男性が多く、被害者は女性が多い。これはどの年度でも、また海外でも同様の傾向にあるそうです。更に、高齢化が進んだことで、在宅介護の長期化による介護者の疲労が事件を引き起こしているこ
とも指摘されました。こうした分析を受け、介護殺人・虐待の防止にむけて介護者支援の充実がはかられるべきとの提言がありました。さらに介護者支援については、介護者を社会に生きる一人の市民として捉え、その視点に立って介護者支援のシステム構築がなされるべきと主張されました。また特筆すべきは、介護者自体の身体的・精神的能力(介護を担えるかどうか)も考慮に入れることも必要である、ということがありました。


次に湯原さんと認知症の親の介護経験のある栗林寿行さん、ケアラー連盟代表理事の牧野史子さんによるパネルディスカッション。
栗林さんは、母親の介護に心身共に疲れはてたとき、地域包括センターの所長から、「別々に暮らす方法を考えよう」と言われ救われたということでした。また、牧野さんからは「介護者の現状と介護者支援」として、家族の小規模化や高齢介護、男性介護者の台頭、シングル介護、ヤングケアラーの出現、介護者の心身の健康阻害や失職・貧困などの深刻な現状の説明がありました。これらは総じて地域での(社会心理的)孤立問題であるということと、また、介護者が介護をすることで、自らの人生イベント(結婚や出産、仕事等々)のチャンスを逃ししてしまい、喪失感や孤立感、焦躁感などに悩まされると指摘。その解決のためには、介護者自身を当事者だとしてとらえ、その人の人生や生活の質を高めるためのアセスメントや多面的な支援を行うことが必要であり、更にそのためには介護者自身が自分にも支援が必要だと気付くことと、地域で気軽に助けを求めたり相談できるカフェなどの場所が必要と提言されました。

その後、パネルディスカッションでの提起をうけ、こうした考えを具体的に国や自治体行政に実行させるため、現在「介護者(ケアラー)支援の推進に関する法律(ケアラー支援推進法案)」(案)が作成されていることが報告されました。

この集会に参加したことで、私が介護者支援の考え方でずっとモヤモヤしていた感覚が一気に解消しました。それは、根本的には介護者の基本的人権の問題だということに気付かされたからです。これまで「なぜ介護で私の人生が左右されるのか」という疑問は、「娘・息子だからある程度は仕方ない」「うまくサービスを利用して、介護も仕事も両立できるようにするのが大切」などという言葉で「対症療法」の煙に巻かれていたように思います。しかしながら、介護者も介護される側も、どちらも自らの人生をまるごと思うように生きられる社会システムこそが必要なのであり、「家族」という美名の下に「人権侵害」がなされている
現状は絶対に間違いであるし、同時に私たち介護者は、自分の人生を十全に生きるために、社会からのサポートをしっかりと受ける権利があるのではないでしょうか。
今後もこのような認識をもって、国や自治体、地域に対して、介護者の視点からの発言や活動をしていければと思います。         (関東在住会員 R・M)